信号を測る

EL-210のLSIを引っこ抜いて入れ替えたら自分の好きな機能を実装できるのではないか。そう考えたわけですけれども、そもそもそんなことが出来るのでしょうか。

ざっと基板を眺めた感じでは、「できるのではないか」という印象が強いです。なにより、この電卓にはVFDと、キーボードと、電源らしいアナログ回路しかありません。VFDもキーボードもLSIに直結しています。となると、キーボードはただのマトリックスでしょうし、VFDはダイナミック点灯に決まっています。

と言うわけで調べてみたところ、以下のようなことがわかりました。

  • VFDのグリッド電圧は0vから-25vに振れるディジタル波形。
  • VFDのセグメント電圧も0vから-25vに振れるディジタル波形。
  • VFDのフィラメント電圧はディジタル2相で-21v +/- 1.5v。LSIとは接続されていない。
  • LSIは-25V電源。複数のバイアス電圧らしきものが加わっているが、機能は不明。
  • キーボード・マトリクスはVFDの桁グリッド信号を流用している。9*3で最大27キー入力できるところを、25キー使っている。
  • キー短絡保護用のダイオードは実装されていない。

VFDのヒーターはグリッド電圧が4Vのカットオフを持つようにバイアスを与えています。VFDのフィラメント・バイアスに関してはノリタケ伊勢電子のアプリケーションノートAPF201が詳しいです。このアプリケーションノートはフィラメント・バイアス以外にも貴重な情報が掲載されており、VFDを使用した回路を組む時には必須です。

LSI用の外部クロック入力らしきピンは見当たりませんでした。どうやらオシレーターは内蔵のようです。

1975年頃のシングルチップ電卓ICは、外部に保護ダイオードかプルダウン用のアレイ部品が見受けられます。しかし、EL-210に使用されているLI2026Aにはそういった外付け部品はありません。まさにCalculator-on-a-chipです。

さて残るはLSIが生成している電圧はあるか否かです。パターンを追うのが面倒なので電圧しか見ていませんが、LSIのピンの中にはバイアス電圧らしきものが出ています。これは電源回路が供給しているのでしょうか、それともLSIが生成しているのでしょうか。

これについてはLSIを引っこ抜いてみるまで分かりません。

左:桁グリッド電圧、右:フィラメント電圧

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