紫ライブラリは次期メジャーアップデートに向けて進行中…のはずですが停滞しています。やる気がそがれているのです。CubeIDEもCubeHALも問題が多すぎます。なぜ、自分のソフトウェアのアップデートの作業をしているのに、メーカー供給のIDEとHALの問題に駆けずり回らないとならないのでしょうか。
多くの人が
「メーカー製のHALは信用できない。使いたくない」
という呪詛を吐いているのを目にします。それを横目にCubeHALを使っているのは、上から下までのファミリーをカバーする方法が他にないからです。ファミリーのカバーは、将来の方針に対して自由度を与えますし、たとえ1機種であってもクロックツリーの設定からピン・マルチプレクサの設定、DMA、割り込みの設定、ペリフェラルの設定をレジスタから叩く、なんてことはもうしたくありません。
投げ出すかも。
という気分なので、叫ぶ代わりに他の物をいじっています。最近いじっているのは古い電卓です。
SHARP EL-210は1980頃に製造された電卓です。このころは10年続いた電卓戦争が終結し、一面の焼け野原の真ん中でシャープとカシオがにらみ合っていた時代です。一応、大手はしぶとく市場に残っていましたが、存在感は薄くどこも撤退をにらんでいた時期と考えていいでしょう。
1980年当時はデスクトップ電卓もポケット電卓も値崩れが激しく、シャープもカシオも付加価値をつけるために薄型化に走りだしていました。薄型化は厳しいコスト圧力の下で部材を減らす役にも立ちます。
EL-210はそういった潮流から取り残された電卓です。単三電池2本で動くこの電卓は厚みが2cmほどもあり、お世辞にも薄いと言えません。この系列の電卓は先代のEL-8031が1979年に韓国生産に切り替わったときにこっそり中身のLSIがSHARP内製と思われるLI2026Aに置き換わっています。この時に製品名はEL-8031Sとなりました。その後、同じLSIを使ったSHARP EL-209, 210, 215が1980年にリリースされています。この三機種はロジック基板が全く同じながら、フロントパネルの形状が異なっており、なぜこんな非主流電卓に金型を3つも作ったのか首をひねってしまいます。
販売価格が不明ながらおそらくは3000円程度で大量に販売されたこの機種は、海外のサイトでも「この時代の製品と思えないほど部品点数が多いし、信じられないほど金がかかっている」と言われています。
とまぁ、多分液晶よりVFDが好きな人々向けに惰性で売られたであろう電卓を開けて眺めているうちに、ふと思いついたわけです。
「これ、LSIを引っこ抜いて自前の基板で置き換えられるんじゃないのか?」