AM変復調の実験

By | 2020年7月28日

SimulinkでAM変復調の実験をしました。

構成

オーディオ帯域でのSDR実装を視野にいれた構成です。変復調器のブロック図は以下の通りです。系のFsは48kHzです。

ブロックダイアグラム

図の左半分が変調器側です。キャリアは+12kHzの複素発振器を使って作り出していますので、負の周波数成分はありません。変調信号は7kHzでバンド制限した音楽です(CDからリッピングしてFs 48kHzに変換済み)。

右半分が復調器で、これはさらに上下に分かれています。

復調器の上半分は複素振幅復調器です。これは複素信号の絶対値をとることで瞬時の振幅を知ることができるという事実を利用した復調器です。なお、DCオフセットを含む信号を作り出しますので、HPFでDCをカットしています。

下半分はダイオード検波器を模したブロックになっています。半波整流のあとで、やはりDCオフセットをカットしています。なお、性質上IF信号(12kHzのAM)が出力に漏れるほか、復調信号のエイリアスも現れます。そのため、7kHzのLPFにかけています。

シミュレーション結果

変調結果は以下の通りで、上で説明したように+12kHzをキャリアとするAM信号になっています。負の周波数側にスペクトルはありません。

AM信号

復調結果は下の図の通りです。黄色が複素振幅復調の結果で、青がダイオード検波の結果です。ダイオード検波の結果は最後のLPFの手前の信号です。

復調結果

一見して、ダイオード検波(青)には不要信号が多いことがわかります。ナイキスト周波数(24kHz)付近の信号は、IF信号の高調波やそのエイリアスです。ダイオード検波の場合、この手の強力な高調波は避けられません。また、12kHz前後の信号はIF成分が漏れてきたものです。これらの信号は復調結果と同じエネルギーを持っています。全体域で考えるなら復調信号はこれらの不要信号に埋もれています。なお、複素振幅変調の結果と復調信号のレベルをあわせるために、ダイオード検波結果は振幅を4倍しています。

一番の問題は漏れているIF信号が、5kHzより上の領域で復調信号と被っていることです。このため、7kHzのLPFで不要信号をカットしても検波結果は大きなひずみを持つことになります。

実際に聞いてみると、ダイオード検波には弦楽器やボーカルの母音部に聞いてわかるレベルの濁りを感じます。

この問題はIFの周波数(12kHz)がAM信号の帯域幅(15kHz)に比べて低いことが原因です。とはいえ、単にIF周波数を高くしても今度はダイオード検波出力の高調波がFsとの調和関係を失うせいで、広くエイリアスが発生してしまいます。放送用のAMをどうしてもダイオード検波したければ、Fsを96kHzに上げる必要があります。

まとめ

AM信号を復調する場合、複素信号に対する振幅復調が合理的でひずみの少ない方法とわかりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください