IF周波数0kHzだとどうなるか

By | 2020年7月30日

前回のエントリに続いて、AM復調の実験をしました。

前回の実験ではFs = 48kHzの系においてIF周波数を12kHzとして複素信号の絶対値を取って直接振幅を復調する方法と、ダイオード検波を聴き比べました。その結果、ダイオード検波はIFの漏れが復調信号に被るため、音が悪いという結論になったのでした。また、IF周波数を上げると今度は高調波の出方がサンプリング周波数との間の調和関係を崩すため、さらに音がおかしくなりました。

今回はこれを少しひねってみます。ダイオード検波の音が悪い理由は、IF信号が復調信号の広域にかぶるからでした。では、IF信号が最初から0Hzだとどうなるでしょうか。

これは実験しなくても頭で考えればわかるのですが、実験しました。予想通り非常に良い音がします。実際、復調波形は複素信号の絶対値を取る方式と全く同じになります。

なぜこうなるかというと、IF周波数0HzのAM信号はDCオフセット付きの変調信号に他ならないからです。DCカットすれば簡単に変調信号を取り出すことができます。ダイオードすら不要です。

これは大変良い方法に感じますが、問題があります。IF周波数を0Hzにするには、受信信号に完全に同期した局発信号を作り出す必要があります。PLLについてはすでに実験済みですのでこれに関しては結論が出ています。同じ周波数の信号を作り出すことは可能です。雑音がなければ。

雑音があるため、PLLの出力は0.2Hz程度の周波数の揺れが入ってきます。では、そのような揺れが局発に生じた場合にはどうなるでしょうか。これは実験してみるとすぐわかります。その周波数に応じた盛大なフェージングが起きます。つまり使い物になりません。

というわけでこの方法には希望がなさそうですが、実は裏道があります。AMではなくてLSBあるいはUSBとして復調すればいいのです。フェージングが起きるのは復調した音声信号の正のスペクトルと負のスペクトルが干渉するからです。ならば、正あるいは負のスペクトルだけ残せば済みます。この方法には近接局から妨害を受けた際に、妨害をうけたサイドバンドを捨てることができるというメリットがあります。

さて、実際聞いてみると確かにフェージングはなくなります。そして大変残念なことに、いえ喜ばしいことに、局発の周波数が1,2Hzくるっていても、おかしな音に聞こえないのです。耳がポンコツなんですねぇ。悲しいですねぇ。

通常のSSBと異なり、AMの信号にはキャリアがあります。ですのでこのキャリア信号をPLLで取り出すことで、妨害を受けているAMを綺麗にSSB受信することができます。

最近AM民間放送の終了が報じられたところです。こういう工夫ももはや意味のないものになっていきますが、ともかく実験は実験ということで。

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