何度も周波数変換をする意味

CQ ham radio誌の2018/11号を読みました。

「トランシーバのカタログスペック読みこなしガイド」という記事を読んだのですが、ちょっと気になる箇所がありました。

「何度も周波数変換をする意味」という項目では周波数変換を多段にする理由として感度と選択度を挙げ、相反する要素として周波数変換によるSN比低下を挙げています。

実際にはイメージ混信の低減と選択度向上こそが何度も周波数変換をする理由です。

スーパーヘテロダイン方式は受信範囲全体で、中間周波フィルタによる高い選択度を維持できることが利点です。一方で、ストレート型受信機にないイメージ混信が弱点になります。

イメージ混信は中間周波数を上げれば受信周波数とイメージ周波数の差がおおきくなるため低減できます。しかし、中間周波数を上げると中間周波フィルタを狭帯域化しにくいという欠点があります。そのため、最初の周波数変換により高い周波数を中間周波数とし、2段目の周波数変換で低い中間周波数に落とせば狭帯域を実現できます。これがダブルスーパー・ヘテロダインです。

アナログ受信機では周波数変換の段数を上げればイメージ混信低減と狭帯域化を容易に実現できますが、当然のようにコストは上昇します。広い周波数範囲で動作する可変周波数の高周波発振器を作るのは大変難しいため、集積回路が現れる前はむやみに段数を上げることは困難でした。

この辺を説明すれば記事ももっとわかりやすくなったことでしょう。

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