先日、熱中症に関連する暑さ指数について書きましたが、今日は関連してインフルエンザと湿度です。
室温、湿度計にはインフルエンザの危険領域について警告するものがあります。たとえば、ドリテックのO-311Tなどです。こういう表示があると言うことは、どこかにインフルエンザと室温・湿度に関する研究があるのだろうと思って探してみました。
結果から言うと、「インフルエンザ・ウィルスの生存時間は絶対湿度と関係がある」とする研究がいくつか見つかりました。ここで言う絶対湿度というのは、空気の単位体積あたりの水分保有量[g]です。我々が天気予報で湿度と呼んでいるものは、与えられた圧力、気圧条件下での飽和水蒸気量に対する相対値です。しかし、そうではなく、単位体積あたりの水分の質量がインフルエンザ・ウィルスの生存時間に関係するというのです。
- 「気象と感染症流行の相関に関する研究第二報 -インフルエンザ流行の拡大因子は気温か、湿度か、その他か-」 庄司真 抗酸菌病研究所雑誌,vol.40,No.2,pp.95-106 (1988)
- "Absolute humidity modulates influenza survival, transmission, and seasonality", Sharman,
1.については古い論文を印刷し直してネット上に掲載しているのですが、掲載したページが「平成15年度 ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査検討業務報告書」で、首をかしげています。内容は絶対湿度がインフルエンザ・ウィルスの生存に影響をあたえるというもの。2.は2008年の論文で、やはり絶対湿度がインフルエンザ・ウィルスの生存性と放出に影響を与えるというもの。最近の「インフルエンザを予防するには室内の絶対湿度を上げましょう」という情報は、どうやらこの辺りが震源地のようです。
ということで、温度・湿度センサーの計測値から絶対湿度を計算すれば、インフルエンザの危険性の指標として表示できるようです。