信号処理をやっていると、サンプル周波数を上げたり下げたりしたくなることがあります。こういった処理をアップ・サンプリング、ダウン・サンプリングと呼びます。
アップ・サンプルを行いたくなる場面としてはDACへの出力の直前が挙げられます。DACはその性質上アナログ・フィルタによるLPFがどうしても出力に必要になります。このフィルタは信号帯域を通過させながら、そのエイリアスを阻止するために急峻な特性が必要とされます。サンプル周波数を上げておけば、このアナログ・フィルタに対する要求は軽くなります。
同様に、ADCのアンチ・エイリアス・フィルタを簡素化(あるいは特性をよく)するために必要な周波数のN倍でADCを行い、あとでダウン・サンプルすることもあります。
アップ・サンプルとダウン・サンプルは意外と重い処理になることがあります。これは同時に行うフィルタリングを高いほうのサンプル・レートで施さなければならないからです。また、急峻な特性が要求されることから、フィルターの次数が高くなるのも処理が重くなる一因です。この処理が重くなる問題の解決策として用いられるのがポリフェーズ・フィルターです。多分に魔術的な効力をもつこのフィルターがどのように働くか、以下で見ていきましょう。
なお、ポリフェーズ・フィルタに関するれ説明の内容は「シミュレーションで学ぶディジタル信号処理」(尾知博著 CQ出版社)の内容に全面的に依存しています。
以下で作っているプログラムはインターフェースを整理してシグナルツールキットとしてライブラリ化しています。利用する場合にはそちらをお使いください。
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